
在宅介護では、「安全のためにリフォームをしよう」
と考えることがよくあります。
もちろん、手すりや段差解消は大切です。
しかし、ここにも見落とされがちなリスクがあります。
このトラブル、私の家族でも起きました
在宅介護が本格化してきた際に、レビー小体型認知症の
母の歩行が少しずつ難しくなってきて、歩行器よりも
手すりなど、いままで何も問題がなかった箇所が
危なく感じるようになってきたので、大規模なリフォームを
行いました。
二つのトラブル
大規模リフォームとなると、その間仮住まいで対応となりました。
これが母親を混乱させた第一のトラブル
住み慣れた家ではない、手狭でどこに何があるか
わからない状況になったことで、母親を混乱させてしまいました。
リフォーム中は、自分たちもいろいろとやることもあり
混乱してしまった母親に丁寧な対応がなかなかできませんでした。
精神的に追い詰められた私達は、時折感情のコントロールが
できなくなり、強い口調がでてしまったり、
時には家族間での衝突も生んでしまいました。
※その時、自分たちでも「あ、危ない状況になっている。」
と認識し、みなで話し合い回復させられています。
リフォーム後にも起きた大混乱(第二のトラブル)
前述のとおり、状況がかわることで起きたトラブル
当然ながら、リフォーム後にもこの混乱がおきました。
家に帰ってきた。と言われても
慣れ親しんだ家が突然別の場所のように感じられてしまい、
強い不安や混乱が生じたのです。
また、家族が良かれと思って設置した手すりが、
本人の長年の生活習慣を変えてしまい、
かえってバランスを崩しやすくなったケースもありました。
リフォームは「誰視点」で考えるか
介護リフォームで最も重要なのは、
「家族が安心できる家」ではなく、
「本人が自然に生活できる家」になっているかです。
手すりをどこに付けるか。
家具をどこに置くか。
動線をどう変えるか。
その判断は、家族の感覚だけで決めるのではなく、
本人の習慣や身体の使い方を観察しながら考える必要があります。
事例を共有することが最大の予防になる
こうした問題は、実際に経験して初めて気づくことが多いものです。
だからこそ、私たちはボードゲームや研修の中で、
成功例だけでなく失敗例も共有しています。
「感情的になってしまった」
「リフォームで混乱が起きた」
「家族で意見がぶつかった」
こうした事例を知っているだけでも、
「自分の家でも起こるかもしれない」と想像できるようになります。
そして、その想像力が、トラブルを未然に防ぐ力になります。
介護は突然始まります。
だからこそ、問題が起きてから学ぶのではなく、
起きる前に事例から学んでおくことが大切です。
家族介護のリスクマネジメントとは、
家を変えることではなく、「家族が壊れないように備えること」。
私は、そう考えています。
株式会社 Heart Joint
代表取締役 迫田 智之