
私たちは普段、歩くときにずっと足元だけを見ているわけではありません。
数メートル先を見ながら歩くことで、
段差や曲がり角、人とのすれ違いにも自然と対応できます。
ところが、人生や仕事になると、
意外と目の前のことだけに意識を奪われてしまうことがあります。
私は介護の現場や相談の中で、そんな場面を何度も見てきました。
「今日を何とかしなければ。」
「今、この問題だけを解決しよう。」
もちろん、その気持ちはよく分かります。
目の前のことで精一杯になるのは、ごく自然なことです。
しかし、目の前だけを見続けていると、その先に起こる変化への備えができません。
例えば、親の介護が始まったとき。
介護は突然始まるように見えても、
その前には必ず少しずつの変化、予兆、サインがあります。
体力の低下、物忘れ、病気、家族の環境変化…。
その変化を「まだ大丈夫」と見過ごしていると、
本当に困ったときには選択肢が限られ、慌てて対応することになります。
その結果が「こんなはずじゃなかった」と翻弄されてしまうのです。
これは介護だけの話ではありません。仕事も同じです。
目の前の売上だけを追い続けていると、変化に対応できなくなることがあります。
ということは、健康も、人生も同じなのです。
今は元気だからと無理を続けていると、ある日突然、身体が悲鳴を上げるかもしれません。
5年後、10年後を見据えて動いている人と、今日だけを見ている人とでは、
少しずつ積み重なる選択が変わっていきます。
足元を見ることも、当然大切なことです。
でも、それだけでは遠くへは歩けません。少し先を見るからこそ、
進む方向を修正できる。
慌てずに準備ができる。
自分で未来を選ぶことができます。
介護も、仕事も、人生も。
目の前の問題に追われるのではなく、
その先を見据えて今日という一歩を積み重ねていく。
そんな視点を持つことが、変化の多い時代をしなやかに
歩いていくために必要なのではないでしょうか。